
トラックのユニックで荷物吊っているけど、何Kgまで吊れるのかな?
運転手が慣れているから運転手任せにしてしまおう。
運転手さんあれもこれも吊ってくださいねー
と現場監督が良いか悪いか分かってないで指示するのは危険です。
今回は ユニック車の吊荷重制限を知らないとブームが折れる についてお話します。
どうぞよろしくお願いします。
・ユニック車が何Kgまで吊れるのか分かっていない
・運転手任せにしていて管理の仕方が分からない
・自分で管理できるようになりたい
【悩み】ユニック車がどのくらい吊れるのか分からない
現場ではよく見かけるユニック車ですが、運転手が勝手に資材を積んだり降ろしたりしているイメージがあります。
ユニック車の運転手もプロであるので無茶はしませんがユニックの性能を完璧に分かっているとは思ってはいけません。
経験上ここまでなら大丈夫!!なんて運転手もいます。
現場監督は運転手が分かっているはずだ。運転手に任せっきりにしとけばいい。とは言えません。
現場内での範囲についてはやはり現場監督の仕事の管轄です。

ユニック車がどのくらい吊れるのか分からない
ではダメです。
しっかり覚えましょう。
【結論】ユニックのブームの性能を知ろう
この先を読むことで得られる知識
ここから先はクレーンの性能や用語をまずは知りましょう。
ユニック車の用語
まずはユニック車の部位別の名称です。
基本的なことですが、用語を覚えていないと会話が成立しないことが多々あります。
現場ではよく聞くような用語だと思いますので、これを機にしっかり覚えるようにしましょう。
特にブーム高さと地上揚程の違いはきちんと理解しましょう。
ブーム高さ=地上揚程と勘違いする場合もあります。
天井高が低いところでユニック利用をしようとすると実は吊れなかったりする場面もあります。
定格総荷重
次は定格総荷重について知りましょう。
表にすると以下のようになります。
クレーンは遠くなれば遠くなるほど吊れる重量が少なくなるというのは何となく分かっていると思いますが、正確な数字ではなかなか理解していないと思います。
上記の表は10tクラスの(URG504)というユニックを積んだトラックの性能です。
話は少し反れますが、そもそもユニック車と言うのは「ユニック」を積んだ「車」という意味です。
ユニックというクレーンを車に搭載したと言った方が分かりやすいのかもしれません。
過去にユニックの積載についての記事を書いたことがありますので参考にどうぞ
先ほどの定格総荷重を参考にして管理をすると
「10tクラス」で「アウトリガー最大張り出し」で「作業半径4.1m」なら「2.93t」まで吊れるということになります。
但し定格総荷重ですので、性能としてはギリギリのことを言っています。※実際のクレーンは1.15倍~1.3倍くらいまでは安全率を見込んでいる
施工管理としてはそれではいけません。
2019年以降製造のユニック車であれば90%の吊荷重が超えた時にパトランプにて危険を教えてくれますが、そうではないユニック車はまだまだ多いです。
←パトランプ
ですので、定格総荷重の90%超えないように計画することが望ましいです。
吊り荷重が2.93tであれば90%で2.63tです。計画では90%数字で考えましょう。
10%の誤差なんて風が吹いたり、吊っている物の変な物がついていれば重量が変わります。
安全率は見込んで計画する方が良いです。
クレーンの範囲とブーム性能
ユニック車の名称と性能は分かりましたか?
ですがユニック車だからこそ、気を付けないといけないことがあります。
それは作業半径通りに定格総荷重の荷物を吊れるわけではありません。
下記の平面図を見てみましょう。
ユニック車がどの位置で荷物を吊るかで性能がガラリと変わります。
この図を参考に先ほどの数字を当てはめてみましょう。
「10tクラス」で「アウトリガー最大張り出し」で「作業半径4.1m」なら「2.93t」まで吊れる
ですが、アウトリガーより前方吊りだと25%の性能しかないため、2.93t*25%=0.73tしか吊れなく安全率を見込み90%にすると0.65tしか吊れないことになります。
安易に機械や重量の重たい袋などを前方吊りさせると転倒の恐れがあるので注意してください。
また側面吊りに関してもアウトリガーの完全張り出しが基本です。
後方吊りは安全ですが、ユニッククレーンが遠くブームを長く出さないといけないため吊れる荷重が少なくなります。
とこのようにラフタークレーンなどでは考えなくていい「ユニック車は向きによって吊れる荷重が違う」という知識は身に付けておかなければなりません。
危険性を簡単に考えると
と現場でユニック車を見た時には思いましょう。
【提案】ユニック車の具体的な管理方法
さきほどまでの知識を踏まえ、現場でどのようにユニック車を管理するかを考えてみましょう。
まずは大前提として以下のことを気を付けてください。
・前方吊りは極力行わない
・定格総荷重の90%で管理する
理由は先ほどのことを読み返していただけると分かります。
では次に具体的にどういう風に管理すると安全なのかを考えましょう。
1、吊る物の重量を知る
まずは「何を吊るか」によりどの範囲まで施工可能かを調べます。
吊る物の重量が分からなければ、計画は出来ません。
鉄筋なのか、型枠なのか、仮設材なのか、重機なのか
現場の吊る可能性がある物の重量を調べることは必須です。
2、ユニック車の性能に照らし合わせる
吊る物の重量が分かれば、ユニック車でどの範囲まで吊れるのかが分かります。
但し、ユニック車の車種や大きさにより吊れる重量は違います。
2t、4t、8t、10tと大きく分ければ4種類の分け方になりますので積載量や重量を考え、どの車種なら吊れるのかを検討しましょう。
3、現場がユニック吊りが出来る状況か確認する
吊る物の重量、ユニックの性能を把握して施工可能と判断したとして本当に現場で出来るのかを確認しなくてはいけません。
現場では天井が低い、地盤が硬固ではない、ユニック作業していると他の作業が止まるなどの現場でないと分からないことがたくさんあります。
いざ手配をしてみると

監督さん、これじゃユニック作業できないよ!!
なんて言われてしまいます。
4、計画通りにユニック作業をしているか管理する
計画ができたとしても現場でその通りにやるとは限りません。
運転手であれ、作業員であれ、いつも通りの慣れによる作業を優先するので勝手に計画通りにはやりません。
運転手や作業員による慣れの作業が別に悪いわけではありません。
効率よくやるための方法ですのでむしろ良い時もあります。
しかし、危険ではないか?安全な方法はあるか?実は吊り荷が定格総荷重を超えていないか?などの視点から見ると慣れの作業は危険です。
作業員に任せると効率よくやる→手間・手順を省く→早いが危険性が高くなる
とこのような時が多いです。
前回怪我をしなかったから次も怪我をしないと根拠のない自信があります。
現場監督としては効率よく安全にやることが重要ですので、計画がきちんとできているのであれば作業員に説明し、実行しているかを管理しましょう。
まとめ(行動を促進する、自分が変われたか、思い)
昨日まで何となく見ていたユニック作業ですが、この記事を読むことで「管理」を出来るようになります。
もし現場でユニック作業の事故があった時に言われることは「何を管理」していたか?です。
その時に何も分かりません!!ではなく、このような計画はしていたがその通りではなかったという言い訳できるくらいの知識は必要です。日々勉強ですね。
今日も一日お疲れ様です。
コメント