こんにちは、現場監督のマサです。
今回は 工程表の作り方 についてお話します。
どうぞよろしくお願いします。
【悩み】工程表の作り方が分からない

工程表が見ずらいと言われる。
どういう工程表が見やすいのか
使いやすい工程表を知りたい
工程表は現場を動かす大事な書類です。
でも経験の浅い現場監督は何をどう書けばいいのか分かりません。
20年現場監督をやってきた私が試行錯誤して使い続けてきた工程表を教えます。
ぜひ参考にしてみてください。
【結論】使いやすい工程表をExcel(エクセル)で作る方法
まず工程表ですが「Excel(エクセル)」で作ります。
世の中には色々な工程表のフォーマットやアプリがありますが、エクセルが良いと思います。
なぜなら皆が使いやすいからです。
自分だけ使いやすいフォーマット、自分だけ知っているアプリなどでは他の人が操作する時に使い方が分からない、メールなどで送る時に互換性がなく見れない。そもそもよく見た形式ではないので見ずらいというのがあります。こだわりがあったとしても、エクセルで作ることが無難です。
では、どのような工程表を使っているかと言えば下記のようになります。
※工程表をクリックすると拡大できます。
この工程表が現在は一番使いやすいと感じます。
使いやすいポイントとしては「見やすい」という点です。
工程表は見やすくないといけません。
自分なりの頭の整理ならいいですが、関係者全員が分かるというのが重要です。
この工程表のポイントは以下の通りです。
・工程は文字とバーで書く
・作成日と確認印を忘れずに
まず左の欄にフロアとエリアを記入します。
どの建物でもフロアは絶対に変わらない条件ですし、エリアも作業範囲が明確化します。仕上げ工事になれば室名などに変更するのもいいでしょう。
そして工程は文字とバーで表現します。バーは右上の凡例に従って記入します。
また、クリティカルパスも合わせて記入することで前後にどんな仕事が関係あるのかが分かります。
作成日と確認印も忘れずに入れましょう。
工程表は適宜直すものなので、いつの工程表か分かるようにしなくてはいけません。
又、確認印が無ければ、誰が作ったのか?承認したのか?が分からないため、皆が納得している工程表にはなりません。
逆に言えばこのくらいシンプルな工程表の方が見やすく、使いやすいです。
欲を言えば小さな図面を貼ってもいいと思います。
この形を基本に改造するのもありですが、改造をし過ぎると他の人が使いづらくなるという不便さはあります。シンプルに「いつ、どこで、誰が、何を、どうするのか」が分かるようにしましょう。
工程表を作成する上でやってはいけない3つのこと
工程表を作成する上でやってはいけないことが3点あります。
・バーの色を多色にする
・他の人や協力会社の意見を聞かない
です。なぜだめなのか?を説明します。
工程表を作成するに当たり、業者毎工程表を主として扱ってはいけません。
先ほどの工程表の左の欄をA社、B社のような表記をしてしまうことです。
これにはデメリットとして、業者の工程が優先になってしまうことです。
どの現場でも業者の意見を無視するわけにはいきませんが、一番優先することはそのフロア、エリアがどのような順番で作業することがベストなのか?が重要です。
A社は作業員が4人だからと4人でずっと回せるよう工程を組んだりしてる担当者がいますが、非常に気持ちが分かりますし、出来るだけ安定して仕事を作ってあげることが良いことです。
ですが業者を優先するあまり、実は仕事もないのに現場にいてもらったり、本来のマイルストーンに影響が出たりする場合もあります。
工程表は現場がどうすれば一番よいのかが優先です。マイルストーンをずらさずに業者に安定して仕事を供給できることが一番良いですが、仕事が無いなら無いで、業者もどこかの応援に行くとかを考えます。また早めに工程表を見せることで人数が足りなければ応援を呼んだりもします。
まずは現場優先の工程表を作り、別に業者毎の工程表を作るのはいいと思います。手間はかかりますけどね。現場優先の工程表に業者毎の色塗りをしてあげるだけでも分かってくれる人は多いです。
工程表を作っているとついつい自分で大事と思うところや、分かりやすくするために色を使いたくなりますが、それはNGです。理由は見づらくなるからです。
社外でも、社内でも、業者でも分かるようにしなくてはいけません。
工程表にたくさんの色が使われていると、何が大事なんだろう?色にはどんな意味があるのか?とまずは色の使い方から考えなくてはいけません。
もし、数色の色分けをする場合は必ず凡例に書くようにしましょう。
作業時間帯が違ったり、作業規制が多かったりする場合には数色の利用は良いと思います。
工程表を作成する上でやりがちなのが、独りよがりの工程表です。
工程表を作成し始めると自由に現場を操れる錯覚を起こします。
自分の思い通りに工程表を書いてその通りになればよいですが、なかなかそうはなりません。
誰の意見も聞かない工程表が上手くいくわけがありません。
大体こんな工程表で出来るわけないだろうとか、この工程抜けているとかがよくあります。
まずはマイルストーンを期日にどうすれば間に合うかを考えて一度工程表を作ってみましょう。
そして関係者に周知した時に、文句を言われます(笑)文句に聞こえれば文句ですが、意見と言えば意見になります。関係者誰もが建物を作るという目標に向かって考えてますので貴重な意見として取り入れましょう。
工程表を作る手順

工程表を作ってごらん
と言われても何からやればいいか分からないという方は、まず条件を整理しましょう。
作業規制はあるのか?
施工数量は?大きさは?
どのくらいの作業員が入れるのか?
どんな作業があるのか?工種は?
資材置場はどこか?
とこのくらいは把握していないと工程表は書けません。というか精度が悪いです。
工程表を書くには掛けますが、条件が分からないと根拠が弱いので何かの理由ですぐに工程が崩れてしまいます。条件をしっかり把握しておけば工程表に説得力がありますし、根拠を持って工程表が書けます。
工程表を書く手順は以下のように考えましょう。
2、工程の順番を書いてみる
3、マイルストーンまでに間に合うように工程を作成する
4、施工数量、範囲を基にどのくらいの人数*日数が必要なのか確認する
5、工程表に合わせて、資材置場などの配置が成り立っているか検討する
6、現場に出て、実際に作った工程表で出来そうか想像する。
7、関係者に工程表を確認する
8、実施し、改善する
と、このような順番で作りましょう。
なぜか?を説明します。
まずは施工条件を把握しましょう。
条件を知っていると知らないでは大違い。しかも知らないでは済まないのが工程表です。
知っておくほうが100%有利に事が進むので、この条件を調べることから始めましょう。
また、自分だけでは条件が分からないことがたくさんあるので上司や業者にも確認をとるようにしましょう。
工程の順番は基本的に一つです。
鉄筋を組む前に型枠は組めませんし、コンクリートを打設したら墨出しが最初です。
この順番(クリティカルパス)を間違わないとこが非常に重要です。
躯体であれば墨出し、鉄筋、型枠、コンクリートの順番が多いですが、防水や設備配管、金物埋め込みなどもあります。何があるのか?は設計図・図面を見る必要があります。
何を作るか分からないのに工程表は書けません。図面をよく見て、この工事があるのか!?と把握することが重要です。順番に関しては分からなければ上司に聞くなどをしましょう。
条件、順番も分かったら工事に日付を入れていかねばなりません。ただただ間延びしている工程表はダメです。
目安としてはマイルストーンが設定されているはずなので、それに間に合うように工程を書きましょう。但し、マイルストーンが絶対的に正しいわけではありません。
マイルストーンは数量を部掛かりで割った標準的なものが多いです。
上手にやれば部掛かりは伸びますし、条件が厳しければ部掛かりは落ちます。
マイルストーンはあくまで一回目の設定値であり、そこからどのようにするかはこの後の検討にもよります。
ある作業を行う場合の単位数量または、ある一定の工事に要する作業手間ならびに作業日数を数値化したもののこと。
施工条件、順番、日数を書きましたら、次は人数*日数が適正なのかを確認します。
例えばですが、ただの一軒家の基礎工事に鉄筋工が10人1日で施工なんてことは非現実的です。
通常は2~3人で3~4日かけてやるようなことです。施工範囲や数量に応じて、効率が良い人数を考えなくてはいけません。工期が無い場合も100人来てやれば1週間で終わるなんてことは無理です。
やはり現場の大きさや1日の搬入できる数量などを考えて現実的な日数を出す必要があります。
もし工程に日数が無い場合はどのくらいの人数が作業員の稼働率が良いか業者へ相談しましょう。
工程表を作成したら資材置場や重機配置が成り立っているか検討してください。
先ほどまでの工程表でいくら数字的に成り立っていたとしても、資材や重機が無ければ工事は進みません。建物ですので物がなければ進まないのです。
じゃあ材料を入れればいいのでは?なんて思うかもしれませんが置場が無ければ搬入も出来ません。
本当に工程に余裕がない場合は仮設で置場を作ることも考える必要があります。
どのくらいのスペースが必要かは業者と相談しましょう。
この辺から現場監督の力量が必要とされます。
工程表が出来たら、工程表を持って現場に行きましょう。
工程表を作成するときはパソコンに向かい、想像で工程を作っています。
その想像が現場で実際に出来るのかをまた想像しなくてはいけません。
現場で想定外のことがあったり、見落としていることもあります。
工程表を見ながら一日一日がちゃんと進むか、搬入・資材置場を考えつつ確認しましょう。
上下階の直下作業も注意が必要です。上部で生コン打設を行っているのに下で普通に作業は出来ません。工程表に立入禁止を追記するのもいいですね。
現場で自分の作った工程表が実現可能かを確認しましょう。
現場で自分の作った工程表を実現可能と判断出来たら、関係者に工程表を周知しましょう。
周知と言っても確認でもあります。
関係者は工程表を見て「良し!!」とはなかなか言いません。
自分がどのように動くのか、可能なのか、不可能なのか、どのようにやるのか。
工程表を了承するとその通りに動かなくてはいけません。
慎重になり、これはどうやってやるのかと反論をしてきます。
別に反論が主旨ではありませんが、疑問とどうやってやるのかを聞きたいのです。
それを先ほどまでの手順を踏んでおけば説得力のある説明が出来ます。
「質問に答える」これだけでも現場のことをしっかり見ている現場監督だと認識されるようになり、信用されますし、工程表も信ぴょう性があります。
関係者が工程表に納得してくれたら実施です。
現場は工程表のように順調には進まないことが多いです。
単純な数量、部掛かりでは分からないこともありますし、想定外の更に想定外もあります。
しかし、現場監督には想定外があってはいけません。
実際に工程と見比べてうまくいかなかったときは何が悪かったのか、どうすれば良いのかと次回に向けて改善しましょう。
他人のせいにするのは簡単ですが、他人のせいにしたところで次は上手くいきません。
反省と改善をして、次こそは上手くいくという工程表を作成しましょう。
まとめ(行動を促進する、自分が変われたか、思い)
いかがでしたでしょうか。
工程表を作ると言ってもただ横線を引っ張ってはいけません。
ちゃんとした根拠と思いが必要です。
工程通りに現場が動くのがなによりの正解です。
今日も一日お疲れ様です。
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