
逆打ち工法をやったけど、柱や壁の上部がふさがっているからどうやってコンクリート打設するんだろう。
大きな開口部の下にコンクリート入るか心配
コンクリートを打設できる位置と充填しないといけない位置が遠くてちゃんと打設できるかな
今回は 型枠の上部からコンクリート打設できない時は「圧入工法」 についてお話します。
どうぞよろしくお願いします。
・圧入工法を知らない
・上部からの流し込みだけだとコンクリート打設が難しいところがある
・逆打ち工法の現場をしている
【悩み】圧入工法を知らない
コンクリートを打設するに当たり、通常は型枠上部から流し込みによる打設ですがそれが出来ない時もあります。そんな時に選択するコンクリート打設方法は「圧入」をします。

圧入って何だろう?
て思う人もいると思います。
小さな現場や複雑なことをやっていない現場だとほぼほぼやらないので、知らないという方は現場監督の中でもたくさんいます。
この先使う時があるかもしれない。あの時圧入工法を知っていれば
なんてこともありますので是非覚えていきましょう。
【結論】圧入工法を知ることでコンクリート打設が上手になる
また図で表すと以下のような断面になります。
圧入口は上階がコンクリートで塞がれている時に用いることが多いです。
側面から圧入治具を取り付けて圧によるコンクリートでコンクリートを打ちます。
圧入治具は以下の写真のような物を使います。
これを型枠に取り付けてポンプ配管を接続しコンクリートを圧入します。
鉄製のため重量は重く、サイズも大きく保管にはスペースを取ります。
取り扱っている会社も少ないため、自分の会社との取引先があれば覚えておくことをお勧めします。
取り付ける感覚は垂直は2m間隔、水平は3m間隔をお勧めします。
このくらいがコンクリートが流れ込みやすく打設しやすいと感じます。
また、水平面の取付レベルですが床から1.5mの位置、天端から0.5mの位置に取り付けると楽です。
理由としては床から1.5m位置だと足場を使わずに圧入治具へポンプ配管を取付が可能です。
何度か盛り替えることも多いですのでポンプ配管が取付やすい位置にあるのが作業性が上がります。
天端から0.5mは「圧入」を少なくするためです。圧入は流し込みと違いコンクリートを押し出して打設するため、型枠に物凄い圧を掛けながら打設しています。
圧入治具より下までのコンクリート打設であれば流し込みに似たような状況ですが、いざ圧入治具までコンクリートを打設した時に圧力は増大します。
天端近くに圧入治具を取り付けることで圧によるコンクリート打設を軽減するのが良いです。
圧入治具を使ってコンクリート打設までの施工手順
次に圧入治具をどのように使っていくかを説明します。
1、圧入治具を型枠に取り付ける
2、圧入治具を使い、コンクリートを打設する
3、型枠を脱型する
4、コンクリート打設した柱、壁の天端は隙間があるのでグラウト注入をする
のようになります。
圧入治具は型枠のパイプに挟み込んで使います。以下の写真をご覧ください。
写真の赤いのが圧入治具です。本来なら縦に使うのを推奨されていますがこの現場では横に使っているようですね。
セパ割りなどもあり、自由に設置できるものでもありませんし、パイプを全て閉めた後に現場を見て足りないとなっても遅いです。もし圧入治具を追加しなくてはいけない場合は大工さんに平謝りして付けてもらいましょう。
コンクリートを打設する際に圧入治具からの打設になります。いちいちポンプ配管を接続しないといけないため実際に生コンを流し込むまで時間がかかります。圧入工法は壁の大きさにもよりますが大体1時間に生コン車2~3台程度打設可能と考えておきましょう。
また、圧入治具にはバルブがあり、打設が終わったところはバルブを閉めないとせっかく打設したコンクリートが出てきます。圧入治具は使う時だけバルブを開放します。打設前に圧入治具のバルブが閉まっていることを確認しましょう。
コンクリートが硬化したら型枠を脱型します。脱型した圧入治具はすぐに清掃をしましょう。コンクリートで汚れたままだと次に使う時にバルブが閉まらない可能性もありますし、返却する際に清掃費として取られる場合もあります。
型枠脱型後はコンクリート天端に隙間が必ずできますのでグラウト注入をします。コンクリートの隙間があまりに大きいとグラウトではなく、再打設の場合もあります。設計者や構造監理者の意見も聞きつつ補修をしなくてはいけません。隙間が多ければ多いほど補修に時間もお金もかかりますのでコンクリート打設は出来るだけ型枠天端まで打ちたいが型枠がパンクしない程度にする判断を現場監督はします。
各現場の規模や忙しさにもよりますが、出来ればグラウト注入担当とコンクリート打設担当は一緒の方が良いでしょう。自分の施工管理がどのような流れで進むのか良い勉強になります。
圧入治具を使ってコンクリート打設のメリット、デメリット
最後に圧入治具を使ってのコンクリート打設のメリットとデメリットについて説明します。
・無し
圧入工法ですがはっきり言ってしまえばメリットはありません。コンクリート打設という点だけ考えればただただ面倒な手間や工程が増えるだけです。
ではなぜこのような工法があるのかと言えば、圧入工法でコンクリートを打設するしかない状況だからです。改修工事や逆打ち工法などの現場では仕方なくやります。
コンクリート工事単体で考えると面倒な圧入工法ですが、現場全体から考えると圧入をすることで他のメリットがあるからやることになります。
・打設速度は遅い
・型枠天端の充填率が悪い
・グラウト注入の費用と工期がかかる
・圧入治具のリース料がかかる
・型枠脱型後に圧入治具の後が残る
圧入工法によるデメリット
圧入治具からのコンクリートは上部からの流し込みと違い、ポンプ配管を治具に接続しないと打設できません。また状況に合わせて打設できていないところを配管の筒先だけ振り回して出来るものでもないのでバイブによる流し込みになり時間がかかります。幅が薄い壁だと1時間2台程度しか生コン車を打設できません。
圧入は天端のコンクリートの充填率が悪いです。どうしてもコンクリートを下から押し上げることになりますが、あまり強く押し上げると型枠がパンクします。どこまで押し上げるかは現場の作業員と相談にはなりますが、パンクしてしまっては意味がありません。もう少しコンクリートを入れたいと思うけど型枠がこれ以上耐えられないのせめぎあいです。結局怖いので完全にぴっちり天端まで打設することは難しいです。
型枠脱型後に必ずグラウト注入があります。グラウトをするための費用に加え、専用の足場が必要だったりもします。また工事も1箇所3~4日くらいは見る必要もあり、突貫現場には厳しい工程です。
圧入治具はレンタル品ですので月々料金がかかります。実際に使うのはコンクリート打設当日だけですが、型枠を組立から型枠脱型まで使いますので少なく見積もっても3~4週間程度のリース料はかかります。また、転用となると更に期間が延びますので現場では使い道は少ないけど場所も取り、金喰い虫の圧入治具です。
型枠脱型後は圧入治具の跡が四角でコンクリートにくっきり残ります。
仕上げがあり隠れればいいのですが、コンクリート打ちっぱなしだとどのように見せるのかも重要になってきます。こだわりの意匠設計者の場合、治具を好きな位置に取り付けれるわけでもないので先に設計者に確認をすることも必要になってきます。
まとめ
コンクリート工事はただポンプ車と生コン車を手配して打設するだけではありません。色々なことをするに当たり、知識が無ければ現場監督は務まりません。今日は圧入工法を覚えておきましょう。
今日も一日お疲れ様です。
コメント